たげりの短冊

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ヒトラーの忘れもの

『すべての見えない光』からルイス・ホフマン経由で観たのだが、思いがけず「2023年に観た映画ベスト」に滑り込んだ。

戦闘シーンは一切ない反戦映画としてとても良い作品だと思うけど、観ることに緊張を強いられるし、観ていることが辛かった。

冒頭に軍曹の前で少年兵たちが名乗らされるシーンがあり、急にそこで彼らの区別が付くようになるのがとても効果的だった。デンマーク人のラムスン軍曹にとって、目の前に居るのは子ども達ではあるけれど、彼らは祖国を占領していたドイツ兵でもあり、捕虜であり、海岸に埋め尽くされた地雷の撤去要員でもあるわけで、その矛盾が時々顔を出す作りになっていた。

少年兵たちの中で中心人物として描かれていたのが、ルイス・ホフマン演じるセバスチャンで、優しさではなく(信仰に基づく?)揺らがない善性で行動するタイプの登場人物だったように思う。口数は少ないけれど、軍曹に物事を伝える裁量とか場を支配する能力に長けていて、少年兵たちの背景はほぼ語られないけれど、なにかが伝わってくる感じが巧かった。

他に特に印象に残ったのはあの双子...

あのラストシーンが「そうあって欲しい」という何よりのフィクションだったのだろうと思った。最後に、サウンドトラックが良い映画でもあった。

戦争映画における女性や子どもの描写について調べたくなった。

邦題は完全に「ヒトラー/ナチスを付けてしまう病」案件。

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