たげりの短冊

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アンナ・バーンズ『ミルクマン』

原題 : Milkman
読書で世界旅行 3冊目《北アイルランド
2023年2月13日~15日

19世紀以前の本を読みながら歩く「私」はそのせいで近所を怖がらせているらしい。ある時、その読み歩きの途中「ミルクマン」に声をかけられ、それを皮切りに「私」に指一本触れない彼の存在が「私」の生活に浸潤していく。

作者も明言していないようだが、1980年代が近いベルファストが舞台だとされているらしい。Derry Girls(ドラマ, Netflixで配信)も終わっちゃったし、その辺の勉強もしないといけない。

この物語では主人公を含め、ほぼ全員に具体的な名前が無い。Somebody McSomebody, 義兄その3, 毒盛りガール, もしかしてな関係のMaybe BF といった具合だ。けれどその誰もにかなりのインパクトがあってキャラ立ちしているのが面白い。

長い本編すべてが「私」の語りだけれど「私」が住む場所の閉鎖的な雰囲気とそこで抑圧される感覚が伝わってきてとても引き込まれた。それなりに街のはずで広さも人数もあるけど「ムラ」な感じ。長いし読んで楽しい作品でもないけど超おすすめ。

www.kawade.co.jp

ニコライ・ゴーゴリの『外套』がこの本にも登場したので、いい加減に読まないといけない。この作品が重要な役割を果たすジュンパ・ラヒリの『その名にちなんで』もおすすめ。

www.iwanami.co.jp

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本が入るようなポケットのある服が欲しいな。